プリシード調達のやり方|金額の決め方からSAFEまで

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プリシードの資金調達は、アイデアや試作の段階で「次のシード投資に必要な証拠」をつくるための資金を集めるステップです。多くの創業者が最初につまずくのは、「いくら集めるのか」「何を準備するのか」「どう動くのか」の3点でしょう。この記事では、次に見せたい成果から金額を逆算する考え方、ピッチデッキと投資家リストの準備、投資家への接触の進め方、SAFEの基本、そして契約前に点検したい書類までを順に整理します。

なお、本記事は海外の実務ガイドや公的な教育情報をもとにした「考え方の整理」です。日本国内の標準的な条件や相場を示すものではなく、法律・税務の助言でもありません。契約や法人に関わる判断は、必ず専門家に確認してください。

この記事の要点
  • 定義:プリシードは、次のシード投資に必要な証拠をつくるための資金調達の段階
  • 逆算:調達額は「次に見せたい成果」と、その達成にかかる費用・期間から逆算し、遅れを見込んだ余裕も持たせる
  • 並行準備:ピッチデッキ、短い事業要約、投資家リストを用意し、面談は並行して進める
  • 法務確認:SAFEや法人に関する説明は米国の環境が前提。持分記録や権利関係を整え、専門家の確認を受ける

プリシード調達とは何か

プリシードは、アイデアや試作品の段階にある事業が、次のシード投資に進むために必要な証拠をつくる目的で行う資金調達だと説明されています(出典:Foundersbase)。ポイントは、「事業を大きく伸ばすための資金」ではなく「次の段階の投資家に見せる証拠をつくるための資金」と捉えることです。この見方に立つと、金額も使い道も判断しやすくなります。

下の表は、段階ごとの役割を定性的にまとめたものです。金額や期間の相場は、信頼できる出典がないため載せていません。

観点 プリシード 次のシード
主な役割 次の投資に必要な証拠をつくる プリシードで得た証拠をもとに事業を前進させる
事業の状態 アイデア・試作の段階 初期の証拠が揃い始めた段階
投資家が見るもの 初期需要の兆し、チーム、次の目標の明確さ プリシードで示した目標の達成度
試作品を囲んで話し合う少人数のスタートアップチーム

調達の前に揃えたい証拠

プリシードの投資家に見せられる初期需要の証拠として、試作品、ウェイトリスト(順番待ちの登録者リスト)、小規模なパイロット(試験導入)が例に挙げられています(出典:Foundersbase)。完成度の高い数字がなくても、「顧客が実際に反応している」ことを示せる材料があると、話が前に進みやすくなります。

準備度チェックリスト(編集上の整理)

以下は出典のある必須要件ではなく、自社の状況を点検するための観点です。

  • 想定顧客の声(インタビューの記録、問い合わせ、反応など)を説明できるか
  • 試作品やデモを見せられるか
  • ウェイトリストや小規模パイロットなど、需要の兆しを示す材料があるか
  • チームの役割分担が明確か
  • 「次の投資段階までに何を達成するか」を一文で言えるか
顧客インタビューの記録を整理する創業者

調達額の決め方

必要な金額は、「次の投資段階で見せたい成果」と「その達成にかかる費用と期間」から逆算するのが基本です。そのうえで、計画が遅れることを見込んだ余裕分も持たせます(出典:Foundersbase)。「他社がこのくらい集めたから」という発想ではなく、自社の目標から金額を出す点が重要です。

逆算の手順

  1. 目標を決める:次の投資家に見せたい成果を具体的に書く
  2. 必要な体制と費用を出す:その成果に必要な人員と費用を洗い出す
  3. 期間を置く:成果が出るまでの期間を見積もる
  4. 余裕分を足す:遅れに備えた上乗せを加える

式にすると、「調達額 =(毎月の費用 × 必要な月数)+ 余裕分」となります。ここで使う数字は、すべて自社の計画から出す必要があります。

ホワイトボードで資金計画を描く創業者

運用可能期間(ランウェイ)については、参考として12〜18か月という計画期間の例が紹介されています(出典:Foundersbase)。ただし、これは業種・チーム・費用によって変わる参考値であり、日本や韓国の平均ではありません。自社の目標に必要な期間を優先して考えてください。

資金の使い道を整理する

調達計画は、使い道と結びつけて投資家に説明できる形にしておくことが、実務資料でも重視されています(出典:Lowenstein Sandler LLP)。「何にいくら使うか」だけでなく、「その結果どの目標に近づくか」まで示すと説得力が増します。

使い道の整理例(編集上の整理)

  • 開発:試作品の改良や、初期機能の実装 → 到達したい状態を明記
  • 顧客検証:インタビュー、パイロットの実施 → 得たい証拠を明記
  • 採用:不足する役割を補う人員 → 担う役割と時期を明記
使い道ごとに付箋を整理するテーブル

項目ごとに「いつまでに何が達成できていればよいか」を決めておくと、投資家との対話でも、調達後の進捗管理でも役立ちます。

ピッチデッキと投資家リストの準備

準備しておきたいのは、投資家リスト、短い事業要約、そして発表者がいなくても内容が伝わるピッチデッキの3点です(出典:Foundersbase)。メールで送られた資料が、そのまま読まれても理解される状態が目標になります。

ピッチデッキの構成チェック(編集上の整理)

  • 課題:誰のどんな困りごとを扱うか
  • 解決策:どのように解決するか
  • 初期の証拠:試作品、ウェイトリスト、パイロットなど
  • 市場:どのような顧客層・領域を狙うか
  • チーム:なぜこのメンバーで取り組むのか
  • 調達額と使い道:いくら集め、何に使い、次に何を達成するか
ピッチデッキを画面で確認する二人

投資家リストの作り方

リストは、数を追うよりも絞り込みの観点を持つことが大切です。たとえば、投資する段階、関心のある分野、過去の支援先の傾向といった観点で、自社の事業に合う相手を選びます。推奨する件数については、信頼できる根拠がないためここでは示しません。

投資家への接触と進め方

面談は一社ずつ順番に進めるのではなく、並行して進めることが推奨されています(出典:Foundersbase)。複数の相手と同時期に話を進めることで、比較しながら条件を検討できます。

接触の進め方の例(編集上の整理)

  • 紹介の経路を探す:知人や関係者を通じた紹介が得られるか確認する
  • 初回の連絡は簡潔に:事業要約と、いま何を達成しようとしているかを伝える
  • 面談後のフォロー:質問への回答や追加資料を早めに送る
ビデオ通話で投資家と面談する創業者

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以下の表は、進行の順序のイメージです。期間は案件ごとに異なり、一定の期間で終わることを保証するものではありません。

段階 主な作業 確認したいこと
1. 準備 デッキ、事業要約、投資家リストを整える 資料だけで内容が伝わるか
2. 接触 紹介や直接の連絡で相手に打診する 自社と相手の投資方針が合っているか
3. 面談 複数の相手と並行して話す 質問と回答を記録できているか
4. 条件交渉 契約条件や持分への影響を検討する 条件を理解し、専門家に確認したか
5. クロージング 契約の締結と書類の整理を進める 必要な書類が揃っているか

SAFEとは何か

SAFEは、投資家が先に資金を払い込み、将来、株式に転換される権利を受け取る契約です。Y Combinatorの説明でも、SAFE自体は転換前の株式ではないとされています(出典:Y Combinator)。

契約書類を前に説明を受ける創業者

下の表は、SAFEと、株式を発行して投資を受ける方式の違いを、一般的な範囲で整理したものです。

観点 SAFE 株式を発行する方式
投資家が受け取るもの 将来、株式に転換される権利 その時点で株式
転換前の位置づけ SAFE自体は株式ではない 株主としての地位が発生する
確認の必要性 契約条件の確認が必要 契約条件・株式の内容の確認が必要

注意:SAFEと関連する法人の説明は、米国のスタートアップ環境を前提としています。日本や韓国の創業者がそのまま使える標準契約ではありません。法人の所在地と契約条件に応じて、法律の専門家に確認してください(出典:Foundersbase、Y Combinator)。

電卓と表で持分の割合を試算する様子

希薄化(持分の減少)の計算方法

Y CombinatorのSAFE(米国向けのポストマネー型)の例では、売却される持分の割合を「投資額 ÷ 企業価値の上限(キャップ)」で計算します。たとえば、投資額が100万ドル、キャップが670万ドルの場合、持分は約15%という例が示されています(出典:Y Combinator)。

これは特定の条件で説明するための例であり、プリシードの一般的な条件ではありません。条件が違えば結果も変わります。

自社で試算するときの確認項目(編集上の整理)

  • 投資額はいくらか
  • キャップはいくらか、どの方式の契約か
  • 複数の投資家から調達する場合、合計でどのくらいの持分になるか
  • 試算の前提を、専門家と一緒に確認したか
書類をファイルに整理して点検する様子

契約前に点検する書類

実務資料では、法人の持分の記録を整えること、実査(デューデリジェンス:投資家による事前調査)に備えること、法律の専門家の確認を受けることが挙げられています(出典:Lowenstein Sandler LLP)。

点検チェックリスト(編集上の整理)

  • 誰が何株を持っているか、記録で説明できるか
  • 法人の基本的な書類が揃っているか
  • 開発した成果物の権利が会社に帰属しているか
  • 契約書の主要な条件を理解しているか
  • 専門家に確認を依頼したか

米国の証券法や法人形態に関する助言は、日本の法律にそのまま当てはまりません。具体的な判断は、自社の法人が所在する国の専門家に確認してください。

セミナー会場で学ぶ創業者たち

相談先と学習機会の探し方

参考として、韓国の公的な創業支援の例を紹介します。K-Startupの創業教育「投資誘致およびエグジット戦略」は、初期創業者の資金調達を扱い、投資のプロセスや投資契約書の作成などを内容として案内しています(出典:K-Startup創業教育)。また、スタートアップ・ワンストップ支援センターは、投資誘致の戦略やIR、投資契約・ラウンド協議に関する法律支援の分野を案内しています(出典:K-Startup スタートアップ・ワンストップ支援センター)。

これらは韓国の公的支援であり、プリシードの条件や市場の統計を裏づける資料ではありません。日本で活動する方は、こうした窓口の考え方を手がかりに、自国で相談できる類似の窓口や教育機会を探してみてください。

よくある失敗と回避のチェック

ここまでの内容を、行動で確認できる形にまとめます。

チェックリストを確認する創業者
  • 金額を逆算せずに決める → 目標・費用・期間・余裕分を書き出して確認する
  • 証拠が乏しいまま接触する → 試作品、ウェイトリスト、パイロットなど、見せられる材料を先に揃える
  • 条件や持分への影響を理解しないまま署名する → 計算式で試算し、専門家に確認してもらう
  • 書類の不備を放置する → 持分の記録、権利の帰属、基本書類を事前に点検する
  • 他国の仕組みをそのまま当てはめる → SAFEなどは米国環境が前提であることを踏まえ、法人の所在地に応じて確認する

まずは、次のシードまでに達成したい目標を一文で書き出し、「毎月の費用 × 必要な月数 + 余裕分」の式で調達額の下書きを作ってみましょう。

参照元の実務ガイドで調達の流れを確認する

よくある質問(FAQ)

プリシードとシードの違いは何ですか?

プリシードは、次のシード投資に必要な証拠をつくるための資金調達の段階として説明されています。シードは、その証拠をもとに次に進む段階です。金額や期間の目安は、出典がないためここでは示しません。

調達額はどう決めればよいですか?

次の投資段階で見せたい成果と、その達成にかかる費用・期間から逆算し、計画の遅れを見込んだ余裕分を加えます。12〜18か月という運用可能期間は参考例であり、平均値ではありません。

質問と回答を整理するノートとペン

SAFEは日本でも使えますか?

使えるかどうかは、ここでは断定できません。SAFEは米国の環境を前提とした仕組みであり、法人の所在地と契約条件に応じた法律の確認が必要です。

希薄化はどう計算しますか?

Y CombinatorのポストマネーSAFEの例では、投資額 ÷ キャップで持分割合を求めます。100万ドルと670万ドルの例では約15%ですが、これは例示です。自社の条件で試算し、専門家に確認してください。

契約前に何を確認すればよいですか?

誰が何株を持っているかの記録、法人の基本書類、成果物の権利の帰属、契約書の主要条件の理解を点検し、法律の専門家の確認を受けてください。

試作品を囲んで話し合う少人数のスタートアップチーム
顧客インタビューの記録を整理する創業者
ホワイトボードで資金計画を描く創業者
使い道ごとに付箋を整理するテーブル
ピッチデッキを画面で確認する二人
ビデオ通話で投資家と面談する創業者
契約書類を前に説明を受ける創業者
電卓と表で持分の割合を試算する様子
書類をファイルに整理して点検する様子
セミナー会場で学ぶ創業者たち
チェックリストを確認する創業者
質問と回答を整理するノートとペン

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この記事を引用するとき

出典: Atovia(アトビア). https://atovia.kr

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